台風23号

台風23号
 販路も勿論一から開拓し、何とかビジネスとして成り立つようになり、お客様の認知も高まってきていた平成16年10月台風23号によって、ビール工場が被害にあいました。今でも忘れませんが、台風23号が来た日はビールを仕込んでいる日で、ブルーワーも遅くまで仕事をしていました。うちの工場は円山川沿いにあり、日頃から水もつきやすいところだったため、元々道路より2mくらい高くしてあります。道路に水がつくことはあっても、工場まで上がってくることはなかったため、ブルーワーも仕事を続けていましたが、水が急に上がってきて、あっという間に床上150cmほど水が来て、プラントも浸水。逃げることもできなくなり、ブルーワーは醸造タンクの上で水が引くまで一晩過ごしました。本当に恐ろしい台風でした。タンクにあったビールは使い物にならず破棄。台風が去った後工場は一面泥だらけ。プラントは元々外国製。日本の機械と仕様も違うため、修理も簡単ではありません。泥かきだけで1週間以上かかりました。どこがいたんでいるか確認しながら修理するもの、買い換えるもの、見積もりをとりながらも今後どうしようか頭を悩ませていました。その時一番支えになったのは酒屋さんやお客さんの声。友人からカンパや励ましの声も頂戴しました。特に日頃お世話になっている地元の酒屋さんから是非再建してほしいと言って頂き、何としても復旧するぞと思いを強くし、約2ケ月後に地ビールの醸造を再開できた時は本当にうれしかった。台風23号の被害にあって、ある意味基本にたちかえることが出来ました。地ビールをスタートさせた時の思いと、お客様への感謝の気持ちを心に刻み今も地ビールを造っています。
自己紹介
兵庫県城崎温泉で温泉旅館「山本屋」と地ビールレストラン「グビガブ」を経営している高宮と申します。地ビールを作る立場の人間がビールについて考えている事をまとめてみました。ビールを作るのは奥深く面白い仕事です。また世界には驚く程多くの種類のビールがあり、味わいも様々です。国によってビールのスタイル、楽しみ方も違います。自分でビールの仕事をするまでは、こんなに面白い世界だとは思いませんでした。飲んで研究すればするほど広がるビールの世界を、ひとりでも多くの人に知ってもらいたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。