ビールと発泡酒

発泡酒
 ビールと発泡酒、一体どこが違うのだろう。まず日本の酒税法上でビールとは「水以外の原料に占める麦芽の比率が3分の2以上、麦芽以外の副原料に米、とうもろこし、でんぷん、コウリャン、馬鈴薯、糖類、カラメルが使われている発酵酒」の事で、それ以外が発泡酒という事になる。簡単に言うと使用する原料と、麦芽の比率の違いである。これはあくまで日本の税制上の分類なので、外国の有名なビールでも、日本に輸入すると発泡酒扱いとなるものもある。私が大好きな、ベルギーのヒューガルデンは、副原料にコリアンダー、キュラソーを使用しているため発泡酒である。一方、日本の大手メーカーの作る発泡酒は麦芽の含有率を下げている物が多い。それは税金が変わってくるからである。発泡酒は安いというイメージがあるが、それは税金が安いからである。

 私にはビール(特に麦芽100%のもの)と発泡酒は別の飲物の様に感じられるのだが、皆様はどうお考えであろうか。発泡酒の売上げ比率がどんどん高くなっているので、お客様に受け入れられているのは間違いないが、地ビールや、外国のビールを飲み慣れているせいか、私には麦芽使用率25%以下の発泡酒は、麦の味、香りが感じられず物足りない。せっかくなら、ビールの味を楽しみたいという方には、是非ビールか、外国の発泡酒をおすすめする。ちなみにドイツでは麦芽100%でないとビールとは言わない。

 私達の作っている城崎ビールも麦芽100%にこだわっている。ワイン、日本酒、ビールはぶどう、お米、麦と原料は違うが、同じ醸造酒というカテゴリーに属し、基本的な製法も似ている。私はワインも日本酒も好きだが、ワイン、日本酒の味や香りを楽しみたい。世界のビールを飲み出すと、その味、香りの多彩さにびっくりするとともに自然と自分の好みがわかってくる。麦芽の味やホップの香りがわかりだすと、ビールを飲む楽しみが増す。まず1種類でも多くのビールを飲む事をおすすめしたい。今までビールは喉ごしと思っていた方も、その芳醇な味わいに驚かれる事と思う。
自己紹介
兵庫県城崎温泉で温泉旅館「山本屋」と地ビールレストラン「グビガブ」を経営している高宮と申します。地ビールを作る立場の人間がビールについて考えている事をまとめてみました。ビールを作るのは奥深く面白い仕事です。また世界には驚く程多くの種類のビールがあり、味わいも様々です。国によってビールのスタイル、楽しみ方も違います。自分でビールの仕事をするまでは、こんなに面白い世界だとは思いませんでした。飲んで研究すればするほど広がるビールの世界を、ひとりでも多くの人に知ってもらいたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。