ブルーワーの仕事

ブルーワーの仕事
 今回はブルーワー(ビールの醸造技術者)は一体どんな仕事をしているのかを紹介してみたいと思います。グビガブでは3人のブルーワーが働いています。製造量や設備にもよりますが地ビールメーカーでは3,4人のところが多いのではないでしょうか。ブルーワーの仕事ですが、ビール製造に関する事はすべてお願いしています。まず、レシピの開発。どんなビールを作るかという事です。今グビガブでは4種類のビールを作っていますが、最初にどの4種類にするかで随分悩みました。メーカーによっては醸造設備を買った所のいうがままに、レシピを決めているところもありますが、私は地ビールというからには城崎という土地にあったビールにしたかったため、本当に時間をかけ、議論し、試飲し、料理との相性も考えながら決めました。同じピルスナーというビールを作るのでもモルトはどこのモルトを使うか、ホップはどこのホップを使うかによって味が違ってきます。その原材料の仕入もブルーワーの仕事です。グビガブでは今は直接外国から買い付けています。どこから買うと高品質の材料を安く仕入れる事が出来るかを調べる事も重要な仕事のひとつです。そして勿論ビールの醸造。(その行程もまたの機会にします)瓶詰め、出荷作業などです。私達の設備では大型の瓶詰めマシーンを購入するわけにもいかず、小さな機械でほとんど手詰めです。ラベル貼りも手作業です。地ビールの場合賞味期限が短いため、(城崎ビールで3ケ月)一度に大量の瓶詰めをするわけにもいかず、少量ずつ、本当に手作業で瓶詰めを行います。ビールを販売するための酒屋さんや、卸さんへの営業活動も彼らが担当しています。 そして忘れてはならないのが税務署への申告作業です。ビールには酒税がかかるのは皆さんもご存じだと思いますが、どのビールをどれだけ作ったかを税務署に申告するための書類作り、これが本当にびっくりする位の資料なのです。それにイベントでの販売。城崎での夏祭りとか、JAのグリーンフェスタとか、人が集まる所へは宣伝も兼ねて出ていくようにしています。お客様と直接ふれ合い、ビール談義をするのも楽しい事です。というわけで、季節により繁忙はありますが、年間を通じ結構仕事は多く多岐にわたっています。でもブルーワーが一番楽しいと口をそろえていうのが、ビールの仕込み作業です。酵母が活動をはじめ、発酵をはじめた頃、そして完成したビールを試飲する瞬間。何とも言えず、楽しそうです。私達の施設は本当に小さく、メーカーというのもおこがましいような規模ですが、物を作るというのは面白い仕事だと思います。本当の意味でクリエイティブだし、やりがいのある仕事し、自分達の作ったビールをお客様に飲んで頂き、おいしいと喜んでもらえたら、こんなにうれしい事はありません。
自己紹介
兵庫県城崎温泉で温泉旅館「山本屋」と地ビールレストラン「グビガブ」を経営している高宮と申します。地ビールを作る立場の人間がビールについて考えている事をまとめてみました。ビールを作るのは奥深く面白い仕事です。また世界には驚く程多くの種類のビールがあり、味わいも様々です。国によってビールのスタイル、楽しみ方も違います。自分でビールの仕事をするまでは、こんなに面白い世界だとは思いませんでした。飲んで研究すればするほど広がるビールの世界を、ひとりでも多くの人に知ってもらいたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。